消費税率引き上げと、仕入税額転嫁の問題点 [政治・経済・社会]
今日は、実家のある宇治市に来ている。両親は、高齢なので午後8時ぐらいに寝るので、テレビも見ること出来ないし、私も、ベッドの上で考えにふけっている。
日々の仕事に追われ、学者のような理論的な展開は不可能なものの、実務から考えると、消費税の増税に潜む問題点がいろいろと思いつくものである。
その中でも、いちばん懸念されるのが、消費税の転嫁の問題である。
消費税の計算は、会計処理において、簡便化の要請から、総額主義を認めている。
総額主義とは、例えば、買価1000円の商品を、消費税50円加えて、1050円で売った時、消費税込みの1050円で売上高に計上する方式だ。
同様に、仕入れのときも、500円+25円=525円で仕入高に計上する。
この場合、利益は、525円だ。
仕入れるのが、大手のメーカーだと、仕入れの金額は、税率10パーセントとの場合、仕入れ金額は、550円になる。
商店主が、買価を1000円+100円=1100円で売れれば、利益は、消費税率が、上がっても、利益は、550
円で変わらない。
しかし、消費者が、1100円で同じ商品を買うことに、なんら抵抗がなければ、商店主も、その値段で売れる。
今は、デフレの時代である。
給料は、大手企業や公務員を別として、減少している。さらに、年金生活者は、確実に減少する。
だとすれば、それらの人の消費行動は、毎月1回買っていたのを、1ヶ月を一月半に伸ばすかもしれない。
あるいは、品質を落として、総額で1050円のものに替えるかもしれない。
すると、商店主の売上高は、消費税込みの売上高では、変わらないのに、実質の売上は、減少し、利益も減少する。
簿記を知っている方だと、分かってもらえるだろうが、一般の方々には、分かりにくいかもしれない。
商店主は、利益が減少すると困るので、もともと1000円+50円で売っていたものを、本体価格1000円を30円ぐらい
値引きして売ろうとするかもしれない。
このような値引きが行われると、仕入れの消費税率は、変わらない訳だから、本来、消費者が、納めるべき消費税の
一部を、商店主が、負担することになってしまう。
このような問題を、税の転嫁問題と言う。
いわゆるデフレの時代では、これ以外でも、問題があるので、相当慎重な財政金融政策が求められ、
その政策が上手く機能しないと、小規模事業者を中心に深刻な問題が生じるのではないのかと危惧される。
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