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消費税の税率よりも、まず課税制度を改革せよ [政治・経済・社会]

日本の消費税は、導入期に混乱を来したために、納税義務者により簡便に計算され、納付されているのだが、その仕組みは、メディアでもほとんど取り上げられないので、多くの国民は、その制度的欠陥がもたせす影響について考えることもできないのが現状であろう。

簡単な例を用いて説明しよう。アシスタントデザイナーBさんを一人雇ってデザイン事務所を開いているAさんは、企業の販促パンフレットの挿絵やウェブサイトのオリジナルイラストなどを請け負っている事業者である。毎月の平均収入(売上高)が、100万円(内税)。年間収入が、1,200万円(内税)だとしよう。

事務所の家賃が、年間120万円、Bさんに支払う給料が、320万円、パソコン及びソフト等の年間リース料が、60万円、消耗品費が、60万円、水道光熱費通信費などが40万円としよう。

すると、年間経費は、600万円になる。

消費税の計算で、簡易課税制度を使っていると、収入金額(税抜き価格)の5%の半分が納付税額となる。つまり、Aさんの消費税は、おおざっぱだが、約30万円となる。

また、Aさんは、41歳の独身で、国民年金と国民健康保険に加入しているとしよう。この両者の保険料は、だいたい80万円近くになる。

そこで、所得税と住民税を計算すると、課税所得金額は、約480万円なので、所得税が約54万円、住民税が約49万円、さらに事業税が約15万円となり、消費税の30万円を加えて合計すると、

148万円も税金を支払わねばならないことになる。上記の社会保障税の80万円を加えると、

なんと、228万円も税金や保険料の支払いに支出することになり、手取りの金額は、たったの372万円しか残らないのだ。

消費税が、10%になって、このまま内税方式で請け負っていたら、増税分の30万円は自腹を切るしかない。

Aさんの手取りは、342万円に減ってしまう。

結論をいうと、制度を現行のままにしたまま、増税すると、消費税が転嫁しにくい仕組みが残ることになり、結果として、転嫁できなかったものが、増税分の消費税をかぶることになるということである。

租税の転嫁の問題は、結構やっかいで、プライステーカーに、その権限がゆだねられているとも考え得る。

Aさんは、事務所の経理から、営業から、本職のイラスト作成まですべてこなして、342万円しか手に残らないとすると、廃業し、年収320万円のサラリーマンとして就職することを選択するかもしれない。

Bさんは、解雇され、失業者が一人増えた上に、政府は、租税収入として得られたはずの消費税分等を結局は得られなくなってしまうのである。
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